LOMO LC-A+
Lomography XPRO CHROME 100(クロスプロセス)
多重露光
僕は音楽を聴く。
その大半は通学、通勤、遊びにorブラっと出かけるときの移動時間に当たる。
軽自動車、電車、バス、徒歩。
出力はipod nano [8GB]。
自室では?
親譲りの大層なスピーカーはあるけど、
たまにしか使っていない。
今もPCのファンの音と、キーボードを打ち込む音だけ。
どれを聴くか、それを決めるのはそのときの気分。
「狭く、中途半端に深く」
そんな性格だから、8GBの中身はダマになった粉みたいに偏りがある。
クレイジーにぶっ飛んでしまいたい→凛として時雨
疲れた、一日の終わり→the pillows
ふと懐かしい空気が→BUMP OF CHICKEN
少し重たくて臭いメロディーが聴きたい→THE BACK HORN
昔を思い出して→椎名林檎
ポピュラーな気分→GLAY
少し楽しいかな→東京事変
どうにもならない自己感情→TK、凛として時雨
夜景を見ながら→ジャジーな曲のまとめ
綺麗な世界に→TK、凛として時雨
落ち着いた気分→アコギインストゥルメンタル
撮影中→TK、凛として時雨
エトセトラ
8GBのダマ。
ボールから溢れそうになったら、
一番意味のなさそうなダマを取り除いて、
新しい粉を投入する。
それがまたダマになって、ボールの淵のギリギリを漂う。
8GBの呪縛。
でも、僕は時々意味のない音楽を聴きたくなる。
正確には「自分にとって意味のない音楽」。
気分に合わせて聴く音楽はそれだけで意味を持っていると言える。
曲調、展開、メロディー、評価。
それらは断片であっても頭の中にスペースを有し、何かしらの記憶と結合する。
それらも意味を成していると言える。
ただ単に、何の思い入れも記憶もない、そんな音を聴きたいだけ。
一人きりの家に帰ると、何が見たい訳でもないにテレビの電源をつけてしまう、そんな感じ。
真っ先に思いついたのはラジオ放送。
運転をしながら窓を開けて、収納されているアンテナを引っぱり出す。
2つ、3つ、拾えるチャンネルをまわす。
そして、また窓を開けて、ピンと張ったアンテナを収納する。
思っていたものと違った。
いつも大体3つぐらいチャンネルを拾えるけど、
その内の2つは誰かが話していることが多い。
明るくて、若い声で、楽しい話題。
たまに音楽が流れていても、あきらかに場違いだったり、今時の嫌いな歌声だったり。
その最低限のラインさえクリアしていれば、
どんな音楽でも良いと思った。
父が趣味集めていた昔の洋楽CDを引っ張り出してこようか?
でもそれをどうする?
ボールに入れる?
意味のない粉を?
おそらく8GBの呪縛。
意味のないものへの理想が高すぎるのだ。
意味のないものにこれだけの手間をかけてはいけないのだ。
僕の中で既に意味のあるものへと変貌を遂げつつあるその粉を、
僕は台所の下の棚にあるウスターソースの裏に片付けた。
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